CASE1:小規模・安定的な企業様からの人事評価制度構築のご依頼

人事評価制度

20名程度の”小規模”かつ、決まったところから仕事を受けている”安定的な会社様”から

「人事評価制度を導入したい」

とのご要望をいただき、5カ月間をかけて制度を構築いたしました。

なぜ人事評価制度が必要なのか?

小規模かつ安定的な会社においては、経営者と従業員の距離が近く人事評価制度を導入しなくても、適切な人材配置および 賃金配分ができている会社は多いです。よって現在でも人事評価制度は必要ないと感じ導入していない会社が通常です。

ただし、ご依頼いただいた会社様の場合は、「経営者が事業所に常駐ではない」という特殊な事情があり、現在まで管理職 複数名の合議で物事が進み、制度があいまいだったため

納得性・公平性を高めたい

という従業員側の切実な要望がありました。テスト的に自社で人事評価も導入していたのですが、「しっかりと制度化した い」というニーズが高まり今回のご依頼に繋がりました。

社労士的目線で言えば、今後導入される「同一労働同一賃金」を見据え、正社員/契約社員/パート社員等の区分や、仕事 の内容・役割で明確に区分し、人事評価制度を作成することは、とても理にかなっていると考えます。

人事評価制度はキャリアパス・評価表・賃金テーブルが連動している

当初、「評価項目と評価表が必要で他は必要ない」とお考えでしたが、人事評価制度とは

  • この会社ではどのポジションで何を求められるのか(キャリアパス)
  • キャリアパスをもとに作られた評価項目についてどう評価するのか(評価表)
  • 評価に基づき、どのように報酬を決めるのか(賃金テーブル)
  • 新たな賃金制度(新賃金規程の作成)

が一体になって機能するため、パーツを作るだけでは不足します。

こちらの会社では賃金テーブル/賃金制度があり、ドラスティックな変更を望んでいらっしゃらなかったため、このテーブ ルに連動させる形で、キャリアパス作りからスタートしました。

何を評価するのか?

最近は日本でも欧米のように、職務の内容ごとに明確に区分し、仕事を割り振る職務による成果の評価も増えてきました。

しかし、日本の多くの会社では、そもそも職務だけを基準とするキャリアパスが作りにくい現状があります。たとえば、総合職採用ですと、営業職の場合もあれば、その後、総務に移動するといった仕事の内容の変化が普通にあり得ます。ご依頼いただいた会社でも、基本的に総合職採用かつ全体として専門的な仕事に都度手分けして取り組んでいるため、個人ごとに職務による区分だけでは難しい状況でした。

そこで、職務(仕事)について加味しつつも、現在の日本でも多く取り入れられている、職能資格制度(その仕事をできる能力があるかによって、等級を分け、能力を獲得したかどうかを評価する制度)をベースにしたキャリアパスおよび評価制度といたしました。
職能基準の導入は一般に人材育成に力を発揮すると言われていており、安定的で調和を重んじるご依頼の会社の社風にもフィットします。
加えて、休日出勤や残業についてのコントロールがあいまいであったため、労働時間管理についても評価項目に加え、手早く短時間で仕事の成果を上げることが大きく評価されるようにしました。

賃金と評価の関係

一般的に職務(仕事)の成果中心の評価であれば、賃金は成果によって上下します。ただし、それだけでは調和を重んじる安定的な会社にはなじみません。一方で成果を上げても全く報酬に反映されないのであれば、入社年次の浅い人を中心にモチベーションダウンにつながり、能力を十分生かしてもらうことができません。そこで、明確に規定した成果を出した場合には賞与に反映し、少し長い目で見た能力の上昇には、昇格(等級のアップ)・昇給(同じ等級の中でも賃金基礎が上がる)としています。

人事評価制度は何より運用が大切です

上記のような制度を、実際にお会いしたりwebを通じたりしながら、何度も管理職の皆様とヒアリングと打ち合わせをし、経営者の皆様に進捗を報告しながら構築いたしました。
ただし、単に制度を作るだけでは不足します。評価者研修や人材育成につながる面談とフィードバックをしっかり行うことを、継続しなければなりません。今後は、運用のご支援もしっかりとしていく予定です。

今後の流れ

先にも書きましたが、大企業は2020年より、中小企業でも2021年より「働き方改革関連法」により同一賃金同一労働が義務化されます。そうでなくても、すでに同一労働同一賃金的な裁判もあります。(Ex日本郵便事件)職務の違いや従業員区分、どのような人事評価制度であるかといったところは、これからの人事労務の大きな流れといえるでしょう。
ですので、小規模な会社においても、人事評価制度を導入する流れは、ますます増えてくると考えます

人事評価制度の導入について少しでもご検討されているのであれば、まずはご相談だけでも大丈夫ですので、是非お問い合わせいただけましたら幸いです。

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(糠谷)