なんでもQ&A~在宅勤務と交通費の取り扱い~

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Q:質問内容

 

年度更新と定時決定の時期になりました。 当社では2020年4月より在宅勤務を部分的に実施し、自宅~会社までの交通費を定期券代の支給から実費支給に切り替えました。 この場合、年度更新や定時決定の手続きにあたって気を付けることはありますか?

 

キーワード

年度更新…労働保険料(雇用保険料・労災保険料)の納付に関する手続きです。
《参照コラム》社会保険労務士法人ワーク・イノベーションHP:「なんでもQ&A~労働保険料の計算に含まれる賃金~」
 
定時決定…4月~6月の賃金をもとに計算し直し、新たな標準報酬月額を決定する、社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)に関する手続きです。
《参照HP》日本年金機構HP「定時決定(算定基礎届)」

 

A:質問の回答

【年度更新でも定時決定でも「通勤交通費」は計算の基礎となりますが、在宅勤務があるとその労働契約上の労働日ごとに次の表のように考えます。

当該労働日の労働契約上の労務提供地 年度更新上の取り扱い 定時決定上の取り扱い
自宅 業務として一時的に会社へ出社する場合には、自宅~会社の交通費は賃金に含まれない。→年度更新に算入しない 業務として一時的に会社へ出社する場合には、自宅~会社の交通費は報酬等に含まれない。→算定基礎に算入しない。
会社(事業所・施設等 自宅~会社の交通費は通勤手当として賃金に含まれる。→年度更新に参入する。 自宅~会社の交通費は通勤手当として報酬等に含まれる。→算定基礎に参入する。

 
《年度更新参照》:厚生労働省HP「労働保険対象賃金の範囲」
《定時決定参照》:日本年金機構HP「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」

 

具体的には

❶【労働契約上の労務提供地が自宅】在宅勤務が通常の勤務スタイルで、時々会社に呼び出されて出社する従業員
→自宅~会社までの通勤交通費は実費弁償の扱いとなるため、年度更新/定時決定ともに計算に含まれない。
 
【労働契約上の労務提供地が自宅及び会社】在宅勤務と通勤が日によって異なる勤務スタイル。
→在宅勤務の日と出社の日と、日ごとに通勤交通費の取り扱いが異なる。
 
【労働契約上の労務提供地が会社】会社へ通勤するのが通常の勤務スタイルで、時々在宅勤務をしてもよいとされる。
→自宅~会社までの通勤交通費は年度更新/定時決定ともに計算に含まれる。
 
ですので、在宅勤務を行う場合には規程や労働条件をしっかりと整えて、労働条件を本人に通知する必要があります。また、今回のように実費弁償の扱いになる費用は、雇用保険料がかかりません。日頃の給与計算も見直しておきましょう。

 

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