なんでもQ&A~産前産後休業中の社会保険料の免除について、免除期間をさかのぼりできる場合

Q&Aトピック

Q:質問内容

 

従業員の出産前に「出産予定日の42日前」をもとに産前産後休業取得者申出の申請を行い、社会保険料の免除の手続きをしました。 ただし、その従業員は、出産予定日の42日前という産前休業開始よりももっと前から体調不良のため欠勤をしており、そのまま産前休業に突入していました。 その後、実際の出産日が出産予定日よりも早まったのですが、出産後の産前産後休業取得者変更届の申請時に産前休業に入る前から欠勤していた期間を遡って産前休業として、保険料の免除申請をしても良いのでしょうか?

 

〇回答

実際に出産日から数えて前42日(多胎妊娠の場合は98日)の間であれば、(出産予定日から数えた)産前休業に入る前から欠勤していた期間を遡り産前休業として申請可能です。

 

〇具体例

出産日程
 
 
 
 
 

この場合、出産予定日を基礎とすると、2021年1月より社会保険料が免除となる。
実際の出産日(予定日よりも前)を基礎とすると、2020年12月より社会保険料が免除となり、1カ月分遡りの免除となる。

★従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得したときの手続き
《日本年金機構HPより従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得したときの手続き

《制度の概要》
(1)産前産後休業期間(産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)中の健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者・事業主両方の負担が免除されます。
(2)申出書の提出にあたり、産前産後休業期間中における給与が有給・無給であるかは問いません。
※1 ⇒有休・公休・欠勤であるかは問いません。
(3)申出書の提出は、産前産後休業をしている間に行わなければなりません。
(4)保険料の負担が免除される期間は、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(産前産後休業終了予定日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までです。
※2 免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。

 

〇ポイント①

<産前産後休業開始月~保険料負担が免除されるので、産前産後休業開始日が前月に遡った場合は、保険料免除開始月も遡りとなり遡及処理が行われます。

 

〇ポイント②

保険料免除が月をまたいで前月から免除になった場合、前月給与の該当従業員の保険料徴収分を返金する必要があります。
返金方法に関しては、毎月の借上げ社宅の家賃と相殺したり、住民税の一括徴収がある場合に相殺したりする等、企業様それぞれの返金方法を選択ください。

 

〇ポイント③

出産手当金の支給申請期間も遡り可能です。
コラム参照:なんでもQ&A~予定日より前に出産した場合の産前休業開始日について~ – 社会保険労務士法人 ワーク・イノベーション (workinnovation.co.jp)その際注意したいのが、年次有給休暇を取っていた場合の遡りは、以下のように出産手当金の金額に違いが出てきます。・年次有給休暇の賃金日額>出産手当金の支給日額の場合…有休部分については支給されない。・年次有給休暇の賃金日額<出産手当金の支給日額の場合…年次有給休暇取得の賃金と出産手当金の支給額の差額が、支給されます。

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