①「在宅みなし制度は導入すべきか?」
お盆休みで夏季休暇に入っている方も多くなりました。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で帰省できない、旅行ができない等、いつもの夏季休暇とは様変わりしています。 一方、在宅時間が増えることでwithコロナの働き方や環境を再構築する、良い時間を持てる方も多いはずです。 そこで、今回から数回にわたって、2020年3月以降急増しているテレワークの定着と、そのカギになる労働時間管理について考察してみたいと思います。 第1回の今回は①「在宅みなし制度は導入できるか?」です。
連合が6月に実施した従業員向けの「テレワークに関する調査2020」では、申請をしない隠れ残業の実態も垣間見えます。
《参照》日本労働組合総連合会HP:「テレワークに関する調査2020」
事業場外みなし労働時間制とは、労基法38条の2に定められる「業場外労働に関するみなし労働時間制」のことで、要件を満たせば「就業規則等で定められた所定労働時間を労働したもの」とみなします。
つまり業務にかかった労働時間が短くても長くても、1日の所定労働時間(正社員の多くは8時間)働いたことと”みなす”ことができるのです。※
※労使協定を結んで所定労働時間超え、と定める場合もあります。
なお、テレワークにおける適用要件は以下の2点を共に満たす必要があります。
❶情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
❷随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと
《参照》厚生労働省HP:テレワークにおける 適切な労務管理のための ガイドライン
❶については、会社からのメール・チャット・電話に原則として即応しなくてもよい状態であり、❷については、業務の大枠(目的、目標、期限等)の基本的事項の指示以外、具体的で細かな指示をしないという仕事の進め方です。
しかし、結論としては弊所ではテレワークの導入に当たって、事業場外みなし労働時間制の適用は、原則的にお勧めしていません。
なぜなら実際の仕事の多くは、突き詰めて考えると❶と❷の要件を共に満たす仕事の進め方をとることは非常に難しいからです。
また、みなし労働時間といえども、深夜10時~翌朝5時までの深夜時間帯は割増賃金の支払いが必要であり、全体ではみなしながら、深夜労働のみ労働時間を実労働時間でカウントするというのも違和感があります。
ただし、個々の従業員が会社としっかり関係を築き、会社が技術力や企画力を適正に把握し、業務内容の大枠のみで成果を出すことのできる技術職等で、会社も従業員も業務量をしっかりと相互に適切にコントロールできる場合に、「業場外労働に関するみなし労働時間制」を導入した事例はあります。
みなし労働時間制導入をご検討の前に、根本的な労働時間の中身を検証してはいかがでしょうか。
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