Q:質問内容
コロナ禍で売上が減少し業績悪化が続いています。 雇用調整助成金の特例もあり、2020年4月~2021年1月にかけて、1人の従業員につき各月で2~3週間ほど、断続的に休業(一時帰休)させています。 その中で2021年2月に新たな有給休暇を付与する従業員がいます。多くの日数を休業していても、有給休暇を付与しなければいけないのでしょうか?
キーポイント
労働基準法、第39条1項には、全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、有給休暇を与えなければならない、と定めています。
A:質問の回答
休業日は「労働日」には含まれないと判断されますので、全労働日から休業日を除いた日数のうち、八割以上の日数を出勤していれば、従業員には法定通りの有給休暇を付与しなければなりません。
解説
有給休暇の通達(基発0710第3号)では、“不可抗力による休業日”や“使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日”は「労働日」に含まれないとしています。コロナ禍による一時帰休についてもあてはまります。
従業員が出勤したいと希望してもできない休業といえ、にもかかわらず「労働日」として出勤率に含めるのはバランスを欠いた判断となります。
そのため、通達の判断に基づき、「労働日」とカウントしないことで、「全労働日」の日数を少なく計算でき、休業日以外の労働日の合計で考えて八割以上の出勤を判断します。
従業員が出勤したいと希望してもできない休業といえ、にもかかわらず「労働日」として出勤率に含めるのはバランスを欠いた判断となります。
そのため、通達の判断に基づき、「労働日」とカウントしないことで、「全労働日」の日数を少なく計算でき、休業日以外の労働日の合計で考えて八割以上の出勤を判断します。
《参考》厚生労働省HP:年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いについて【平成25年07月10日基発第710003号】
具体例
【2020年2月~2021年1月の1年間の労働日数が、本来であれば240日だったところ、120日を一時帰休した場合】
240日の八割である、192日出勤していないと有給休暇が付与されないと考えるのではなく、240日―120日=120日を「全労働日数」として、その八割である96日出勤していれば有給休暇が付与される、と計算する。
240日の八割である、192日出勤していないと有給休暇が付与されないと考えるのではなく、240日―120日=120日を「全労働日数」として、その八割である96日出勤していれば有給休暇が付与される、と計算する。
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