統括MGRコラム#4 「短時間勤務」で価値を出すとは? ホワイトカラーの考察

お知らせトピック

社会保険労務士法人ワーク・イノベーション、統括MGRの糠谷栄子です。

今回は、ホワイトカラーの定型業務を8時間から6時間に凝縮し、短時間勤務を成功させるための方法について考えます。

職務内容・量を何も変えずに時短勤務は成功しない

大手企業ホワイトカラー専門職の友人が「時短勤務なのに業務量が変わらず、ほぼフルタイム勤務となっていて辛い」とこぼしていました。育児休業からもうすぐ復帰予定の友人は「実質的に時短で戻れる環境にない」ことを理由に、育休復帰後を憂いています。少し古く2017年の民間調査で短時間勤務制度の利用者において「業務内容・責任等はそのままで、業務量も変わらない」と回答した人の割合は41.9%となっており、現在も100%改善されているとは言い難いところです。

一方で、2025年10月の育児介護休業法の改正で「柔軟な働き方を実現するための措置」として時短勤務選択の義務が小学校入学前までに伸長している企業が増えています。その懸念事項として「時短の人だけ業務を減らすと、他の人の負担が増えて不公平になる」と懸念する企業も民間調査では30%あるようです。

時短勤務する人も、時短勤務者によって負担が増えることを懸念する人も、社労士としてはどちらも経験しているだけに、この難局を少しでも乗り切る方策を考え続けています。


8時間の仕事を6時間で完遂させる4つの具体策

今回はホワイトカラーかつ定型業務が中心の仕事についての、時短成功の具体策を考えていました。なお、これらの方策は「いまのままのオペレーションを変える」ことが前提です。

会社や社員というのは多少手間がかかっても「今と同じがいい」と考えます。顧客に不快な思いや負荷をかけることを良いと思わないのも納得です。しかし、それで結局、仕事が回らなくなり、時短勤務者や負荷のかかる社員が辞めるのであれば本末転倒なので、やりきるというスタンスが必要です。

1. 「完了定義」の見直しと過剰品質のカット

「念のため」の確認作業や過剰な装飾を削ぎ落とし、必要最低限かつ十分なゴールを共有します。

2. ルーチンワークの「判断基準」の明文化

迷う時間をゼロにするため、判断の分岐点をフローチャート化し、現場の自己完結能力を高めます。

3. ITツールによる「自動化」と「共有化」の徹底

RPAやAIを活用した作業の自動化や効率化を積極的に進めることにより、人間が介在すべき工程を最小限に絞り込みます。それによって「アイディアの元を出す」「協議する」「決断する」といった人間が行うべきことにリソースを集中投下できます。

4. 顧客・他者との「役割の線引き」の徹底

効率化の盲点は、実は「相手との境界線」にあります。これまでのやり方を基礎とすると、「丁寧に拾う」「痒い所に手が届く」でやりすぎてしまってもどうしてよいか迷うのです。

  • 対策: 「ここまでは弊社(担当者)が行うが、ここから先の入力や資料準備はお客様(または他部署)に行ってもらう」というルールを合意形成する。
  • 効果: 相手の「ついでにこれもやって(欲しい)」という曖昧な依頼や願望からの失望を防ぎます。役割を分担することで、担当者は自分の専門領域に集中でき、結果として全体のスピードが加速します。

マネージャーとしての視点

特に女性活躍を推進する現場では、責任感の強さから「相手のために」とつい境界線を越えて引き受けてしまう場面を多く見かけます。しかし、それは裏を返せば、相手の自立を妨げ、自社の生産性を損なう要因にもなり得ます。

「線引き」はお互いの時間を尊重し、持続可能な協力関係を築くために必要です。

マネージャーの役割として、現場の社員がその「線引き」を勇気を持って提示できるよう、全面に出て交渉することもしばしばです。

なお、今回追加した「線引き」の考え方は、ハラスメント防止やメンタルヘルス対策の観点からも非常に有効です。具体的な「業務内容の改善」「契約の見直し方」を進めてみませんか?