台風・大雨・地震等、災害の場合には会社を休みにしたり早帰りの対応をしたりする事態があります。災害時においてどのような取り決めをしておくとスムーズか?をお伝えします。
【前提:会社は災害時にどのような対応をすべきか?】
まず、貴社では災害時にどのような取り組みをするかをきちんとルール化しておきます。
★労務管理ポイント
最近は天気予報の精度が高く、台風のため前日から電車が運休する等決まっていたりします。
「休業の連絡は誰がどのように行うのか?」「いつまでに休業を決定するのか?」「午後から急に警報が出た場合にはどのような対応をするのか?「大地震の場合、暴風雨で浸水しそうな場合等、帰宅困難な場合の対応」等も決めておくとよいでしょう。
【災害と労務~法律との関係~】
★災害により、事前に完全休業を決定した場合
労基法26条に「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」という定めがあります。
たとえば台風で電車の運休が決定しているや大地震、停電等での「1日休業」については、この「使用者の攻めに帰すべき事由」にはあたりませんので、その1日分はノーワークノーペイとして欠勤控除したり、賃金を支払わなかったりしても、法律上は問題ありません。
★一部休業の場合
急な天候変化や地震などにより、会社は従業員の安全配慮義務の観点から、全部または一部の従業員を途中で帰宅させる判断をする場合があります。この時の対応と賃金支払いの関係に課題が生じます。
①「台風等で〇時から電車が運休になることが決定した」「地震により業務を継続することが困難」等の場合
→労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」とはならないので、ノーワークノーペイで問題ありません。
②「台風等での運休等は決まっていないが、暴風警報が出たため、予防的に従業員も帰宅命令・指示を出す場合」
→予防的な帰宅命令・指示であれば、法的には労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」との関係から、平均賃金の6割に満たない場合は、補填が必要であると考えられるでしょう。
③「台風等での運休等は決まっていないが、暴風警報が出たため、予防的に従業員も“帰りたかったら早退してもよい”と従業員の判断にゆだねる場合」
→従業員の任意な判断ですので、法的には労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」とならず、ノーワークノーペイで問題がありません。
【災害と労務~実態との関係~】
上記、法律は「最低限守らなければならないルール」でありますが、法律を上回る対応をしているケースもあります。個々の会社で対応は様々です。
★法律を上回る対応と実態との問題点
法律を上回る対応をとることで、従業員にとって不公平感が生まれる場合もあります。
弊所では、実例をもとに問題ケース等を検討しながら、実態に合わせた内規作りもお手伝いさせていただいております。
詳しくは、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。