社会保険労務士法人ワーク・イノベーション、統括MGRの糠谷栄子です。
今回は、多くの方が直面する「時短勤務と賃金」のシビアな現実について、育児介護休業法の改正と関連してお伝えします。
「時短で働くと、想像以上に給与が少なくて驚いた」「時短勤務だといつまでたっても給与が上がらない」「時短勤務でもフルタイムのころとほぼ変わらない業務量なのに給与だけ下がった気分」――。
これは、時短復職した社員の皆様から最も多く寄せられる切実な悩みです。
実務では、時短勤務中の月額給与を「実労働時間で按分(カット)」して計算するのが一般的です。しかし、近年の物価高騰は凄まじく、たとえ食品の消費税が下がったとしても、日々の生活の負担は増えるばかりです。
さらに、育休からの時短復帰に限定すると制度に「谷間」があるのが現状です。
1. 「2歳の壁」で手取りが減るリスク
2025年4月から、子が2歳未満の期間に時短勤務を行う場合、賃金の10%相当を支給する「育児時短就業給付」があります。これにより、子が1歳〜2歳までは、ある程度の収入補填が期待できます。しかしこの給付は「子が2歳以降」ありません。
2025年10月の育児介護休業法の改正で、「柔軟な働き方の措置」で時短勤務を選択できるとする法人は多いのではないでしょうか。2歳以降も継続して時短勤務を行う場合に、2歳までと仕事の責任や時間は変わらない(あるいは増える)のに、給付金がカットされることで、実質的な手取りが1歳~2歳までの時よりも減ってしまう「逆転現象」が起きる懸念があります。
2. 昇給しても増えない「手取り」
「頑張って昇給したから大丈夫」と思いたいところですが、賃金が上がれば所得税や社会保険料も連動して上がります。
特に社会保険料は、標準報酬月額の等級が一段階上がるだけで負担感が増し、せっかくの昇給分が相殺されてしまうと感じることも少なくありません。
経営者・人事担当者の皆様が考えるべきこと
統括MGRとして私が感じるのは、単なる時間按分による減額とそれを標準とする昇給だけでは、優秀な人材のモチベーション維持は限界に来ているということです。
- 評価制度の再設計: 「時間」ではなく「成果」や「役割」にも目を向けた、プラスαを評価し報酬に反映させる仕組みを導入する必要性が高まっています。
- 柔軟な働き方の導入: 時短だけでなく、リモートワークや時差出勤、中抜けの許容等を組み合わせ、フルタイムに近い働き方を全力で支援する。
これらはもはや「福利厚生」ではなく、深刻な人手不足の中で選ばれる企業になるための「経営戦略」です。
皆さんの職場では、時短スタッフの「頑張り」と「対価」のバランス、今のままで維持できそうですか?




