お知らせ
代替休暇制度について
労働者の健康を確保するため、引上げ分(+25%)の割増賃金の代わりに「有給の休暇(代替休暇)」を付与することができます
代替休暇とは
代替休暇の制度を導入する場合は、就業規則の記載および労使協定の締結が必要です
① 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
② 代替休暇の単位
③ 代替休暇を与えることができる期間
④ 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
<注意点>
・労使協定を締結し制度を導入した場合であっても、代替休暇を取得するかどうかは、個々の労働者の意思により決定されます。+25%の割増賃金を払う選択をせずに、代替休暇の取得を義務化することはできません。
① 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
例)1月で80時間の法定時間外労働を行った場合
60時間までは割増賃金率25%、60時間を超える割増賃金率50%
★代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率・・・50%
★代替休暇を取得した場合に 支払うこととされている割増賃金率・・・25%
換算率=(50% - 25%)= 25%
代替休暇の時間数=(80時間 - 60時間)× 換算率25% = 5時間
この事例の場合、5時間分の代替休暇を取得すれば、20時間分の法定時間外労働に対する割増賃金のうち25%相当分の支払が免れます。ただし、50%の支払いのすべてが免れるわけではありませんので、残りの25%部分については割増賃金を支払う必要があります。また、代替休暇を与えることができるのは、60時間を超える法定時間外労働のみです。60時間以内の法定時間外労働については、今まで通り25%の割増賃金が必要になります。
② 代替休暇の単位
まとまった単位で与えることによって労働者の休息の機会を確保する観点から1日または半日のいずれかによって与えることとされています。
※端数の時間がある場合
労使協定で、端数として出てきた時間数に、他の有給休暇を合わせて取得することを認めていた場合は、代替休暇と他の有給休暇を合わせて半日または1日の単位として与えることができます。
他の有給休暇には、事業場で任意に創設する有給休暇のほか、既存の休暇制度や時間単位の年次有給休暇が考えられます。 (この場合は、労働者の請求が前提です。)
③ 代替休暇を与えることができる期間
代替休暇は、特に長い時間外労働を行った労働者の休息の機会の確保が目的ですので、一定の近接した期間内に与えられる必要があります。法定時間外労働が1か月60時間を超えた月の末日の翌日から2か月間以内の期間で与えることを定める必要があります。
例)1月に60時間超えの法定時間外労働が発生した場合
3月末までに代替休暇を取得することができます。
④ 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
賃金の支払額を早期に確定させ、トラブルを防止する観点から、代替休暇の取得日の決定方法や割増賃金支払日を労使で定めておきましょう。
●取得日の決定方法(意向確認の手続)
例)
月末から5日以内に使用者が労働者に代替休暇を取得するか否かを確認し、取得の意向がある場合は取得日を決定する。
※代替休暇取得の確認はなるべく早く行いましょう。
●割増賃金支払日
例)
・会社は、意向確認の結果、取得の意向があった場合には、本来支払うべき割増賃金のうち、支払いを要しないとされる割増賃金相当額を控除した額を、通常の賃金支払日に支払うこととする。
・ただし、当該月の末日の翌日から2ヵ月以内に代替休暇の取得がなされなかった場合には、取得がなされないことが確定した月にかかる賃金支払日において、当該控除した割増賃金相当額を支払うこととする。
・会社は、意向確認の結果、取得の意向がなかった場合には、当該月に行われた法定時間外労働にかかる割増賃金について、通常の賃金支払日に支払うこととする。
代替休暇を期間内に取得されなかった場合は、当然のことながら、代替休暇として与える予定であった割増賃金分を含めたすべての割増賃金額を支払う必要があります。
※参考資料「月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません」改正労働基準法 (mhlw.go.jp)
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