皆様、こんにちは。社会保険労務士法人ワーク・イノベーションの糠谷栄子です。
2026年4月、女性活躍推進法がまた改正されます。これまでは従業員301人以上の企業に課されていた
「男女の賃金差異」の公表義務が、101人以上の企業まで拡大されます。
具体的には
- 301人以上の企業…男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて、2項目以上を公表
- 101人以上300人以下の企業…男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて、1項目以上を公表
また「女性の健康上の特性に係る取組」の推進を望ましいものとしています。
今後は格差の背景を説明し、改善に向けた具体的な姿勢を示すことが求められます。
さて、ここでコラムテーマについて考えてみます。
「同一労働同一賃金」が義務化され、男女平等が当たり前の価値観となった今、
なぜ今さら「女性活躍」を特別視して推進する必要があるのか?
という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現場の数字を直視すると、制度上の「平等」だけでは解消できない
構造的な格差が鮮明に浮かび上がります。
1. 依然として残る「25%」の壁
令和6年版「働く女性の実情」のポイント(概要)では、日本の正規雇用における
男女の賃金差異は約75.5%です。
同じ「正社員」という枠組みであっても、女性は男性の約4分の3の月額賃金
であることを意味します。
賃金制度よりも「勤続年数の短さ」や「役職の低さ」が賃金に直結していることを示しています。
2. 女性の意思決定層が「約1割」という不足
いまだに日本の女性管理職比率は約11~12%に留まっており、
企業の半数以上が「役員は全員男性」という状況です。
自身の体感も同様で、同じ高校を卒業し30年程度経た同級生の中で、
男性労働者はほとんど管理職や高位役職者でしたが、
女性は1割もいない印象でした。
仕事柄、企業努力はわかるものの、
「役職者にふさわしいキャリアを持つ女性がいない」と、
育成してこれなかったことが原因の一つです。
多様な消費者ニーズに応えるべき経営判断の場で、
人口の半分を占める女性のリアルな当事者性が抜け落ちているということは、
事実としてあります。
3. 家庭での「4時間」の格差
家事・育児等の無償労働時間を見ると、
男性の約3.5時間に対し、女性は約7.8時間と、
1日4時間以上もの差があります。
この負担の偏りが、キャリアブランクや「昇進の辞退」を生む大きな要因となっています。
4. 若年女性(15歳~24歳)の地方から都市部への転入超過
地方から首都圏への人口流出において、
「女性の流出数」が「男性」を上回る、あるいは男性より戻ってこない
という構造的な偏りが顕著になっています。
特に20代を中心とした若年女性が、進学や就職を機に地方から東京圏へ移動し、
そのまま定住する傾向が強まっています。
都市部では、夫婦でペアローンを組むなど
「夫婦で協力して子どもを育てる」という意識の高まりを感じますが、
地方では性別役割分担意識が、20代男性であっても強い印象です。
特に地方において、女性活躍推進が求められます。
女性活躍は戦略の一つ
最近、「女性活躍」のフロントランナー企業の業績低迷を、
「女性活躍は経営にマイナス」という批判的な見方があるようです。
しかし、業績低迷には多様な理由があり、
女性活躍を推進していない企業でも起こり得ます。
国際情勢や市場の変化、企業の高齢化、
生成AIの台頭によるホワイトカラー業務の減少などによって、
業績低迷が引き起こされます。
また、「女性管理職比率が高かったから意思決定に課題があったのでは?」
といった見方もありますが、
同業種でより高い女性管理職比率かつ好業績の
グローバル企業は複数あり、
人材育成の途上であったという見方もできます。
女性活躍推進は、単なる優遇措置ではありません。
男女の性差があることは認めつつ、
「より適任者を選ぶ」という視点で、
社員を個別具体的に判断・育成できる土壌を作っていただければと考えています。
まずは貴社の「男女の賃金差異」の背景を、
年齢・勤続年数・職位ごとに分析してみませんか?
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